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これって病気?②月経前症候群:PMS

PMSとは

Premenstrual Syndrome。よく言う月経前症候群です。女性に特有の症状で、月経前の3~10日の間に続く精神的あるいは身体的症状です。月経開始とともに軽快または消失します。その症状は様々で、実に200種類以上もあるといわれます。

大まかに言いますと、精神神経症状として、情緒不安定、イライラ、集中力の低下、抑うつ、落ち着きの無さ、そして睡眠障害などが含まれます。自律神経症状としては、のぼせ、食欲不振、過食、めまい、肌荒れ、にきび、倦怠感など。身体症状としては、頭痛、腹痛、腰痛、便秘、むくみ、お腹の張りや乳房の張り・痛みなどが有ります。この中でも特に精神神経症状が重くて日常生活が全く送れない、などとなると、PMDD(Premennstrual Dysphonic Disorder)月経前不快気分障害、と診断されます。

原因

基本的には、月経前2週間の、排卵から月経に至るまでの黄体期に、卵胞ホルモン(エストラゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の量が急激に増えたり、また低下したりすることで、脳内ホルモンや神経伝達物質が異常をきたすことから起こる、とされています。

そして生理前はホルモンバランスの影響でインスリンの効果が低下するため、食事などで上がった血糖値を下げようと大量のインスリンが分泌され、食事後2~3時間に低血糖状態を引き起こしやすくなり、甘いものが食べたくなる、というメカニズムが隠されています。この結果、必要以上に食べてしまう、という過食が引き起こされたりもするのです。

また、飲酒やカフェインの多量摂取、喫煙なども大きく原因に加担している、といわれます。

さらにPMSの症状を発症する原因に、急激な環境の変化や、過度な労働、長い緊張状態の継続、などがあげられます。単純にストレス要因が関係してきます。そして性格や考え方などが律儀だったり、生真面目で几帳面、完璧主義や負けず嫌い、自分に厳しい人、などが多くその症状を強めています。さらに風邪や病気などで免疫力が低下している、といったことなども、症状を呈する要因となりえます。

診断

約3か月以上にわたってこれらの症状が起こっては月経とともに消失し繰り返す、という典型的な特徴によって診断されます。

認知度

ただPMSという症状名の認知度は未だ女性でも40%と低いため、知らずに一人悩んでいる、という方も多くいらっしゃるという現状です。一般に日本では女性の70~80%がこうした症状があるといわれているのにも関わらず、必要な対策をせずに放置している人は60%以上もいるといわれています。

年齢によって違う

10代や20代の場合、乳房の張りや痛み、下腹部痛や頭痛など、単なる身体症状に留まることが多いのですが、30代になると、これらの症状に加えて、精神的に不安定になったり、イライラや他人に対して攻撃的になったり、といったココロの症状が現れてきます。この時期というのは女性にとって、仕事面や生活全般、そして子育て、といった様々な事が忙しくなり、ストレス要因が非常に増えることで、PMSをより複雑にしている、といえるようです。40代ですとそれに更年期が始まり、女性はまさに休まるときが無い、といってもいいのではないでしょうか。

出産経験

出産経験の有無も大きな影響を及ぼします。一般に出産経験のある方の方が、イライラや怒りっぽくなったり、落ち込んだり、ひどい時には自己否定的になったりの精神的症状が強く、出産経験がない方より、いろいろな面で悪循環を起こしやすくなるという傾向が強いです。

医療機関では

どれくらい以前からその症状があったのかを確認し、他の疾患が隠れていないかなどについて詳しく問診します。そして必要があれば血液検査をしたりする場合があります。そして患者さんそれぞれの症状に応じたお薬を処方します。漢方薬や低用量ピルを使う場合もありますし、むくみが強い患者さんに対してなどは、利尿作用のあるお薬を処方する、といった具合です。

カウンセリングでは

お薬は処方しない代わりに、生活全般についてざっくばらんにお話しをし、必要な生活指導などをしていきます。食事面でのアドバイスをしたり、運動や散歩などをお勧めしたり。その人それぞれの気晴らしや気分転換になることを見つけたり探すなどして、それがどのような効果をもたらすのかなどまで意識して共有し、目標に据えて励ましていきます。

対処法

PMSではないか?との自覚が有ったり、疑いをもたれたら、まずは症状日記をつけてご自分の症状を把握することです。身体症状はもちろん、落ち込みやすいのではないか、イライラして他人に当たったり攻撃的になっていないか、など、自分のパターンやリズムを知っていくことです。そのことによって自分なりの気分転換の方法を考えたり、リラックスできる時間を設けたりしながら、お医者様に行くのか、カウンセリングを受けるのか、なんとか自分で対処して行けるのかを判断しながら、セルフケアを始めて行きましょう。

ただ、会社を休まなければならないほど辛いとか、日常生活にも影響が強い場合には、なるべく早めにお医者様やカウンセラーに相談されることをお勧めします。そこまでではない、という方であれば薬局やドラッグストアで購入できる医薬品を使われるのも一つの方法です。近頃は漢方などの相談に乗ってくれるところも多いですし、過食の方はダイエット食品がスーパーなどでも幅広く置いてある場合が多いので、ご自分の好みに合わせていろいろと選んでみるのも、それこそが良い気分転換にもなるでしょう。

食事など

食事の面では、カルシウムやマグネシウムを積極的に採り、カフェインやアルコール、喫煙などは控えられるのが良いでしょう。カルシウムは骨や歯を作るだけでなく、筋肉の収縮や神経を安定させる働きがあり、体の機能の維持や調節には欠かせないミネラルです。ただ、他のミネラルとのバランスが影響しますので注意が必要です。肉類・インスタント食品に多く含まれるリンを過剰に採るとカルシウムの吸収は阻害されますし、カルシウムを採りすぎても他のミネラルの吸収を阻害します。なので栄養が偏らないようにすることが必要です。牛乳・チーズ・ヨーグルトなどのほか、小魚、大豆製品、野菜や海草などを、まんべんなく摂取するよう心がけてください。

また体内のカルシウムの利用効率を高めるのはビタミンDです。これは魚やキノコなどに多く含まれますが、日光を浴びることで体内で生成されるので、外気を浴びることも肝要となります。

また一般に、ストレスの多い生活を続けると、尿中のマグネシウムの排泄量が増加するといわれ、食事によってきちんと補給することが必要です。精製塩はマグネシウムの含有量が低いので、粗塩(あら塩)を採ったり、同じ豆腐でも”にがり”を用いた豆腐などを積極的に採るといいでしょう。植物中のクロロフィル(葉緑素)もマグネシウムが多いので、緑黄色野菜も意識して取ると良いでしょう。ワカメやヒジキ、玄米やイモ類なども、高いマグネシウム含有量が有るものとして知られています。

その他

生活面で特に必要な事は、特にPMSの症状が重いという方の場合には、仕事の負担を減らすよう、恥ずかしがらずに会社や上司に願い出るとか、家族と相談し合って家事の負担を軽くしてもらう、といったことも必要な手立てでしょう。

大事な事

医療機関を利用するか、カウンセリングに行ってみるか、自分で何らかの方法を講じるか、など、いろいろと方法はあるでしょう。それらをやるかやらないかは別として、こうした様々なセルフメデュケーションの方法もあるのだ、ということを知って、知識としてそれを生かしていくことは大切な事だろうとは思います。PMSであるにしろ無いにしろ、他の疾患をも含めて、自分の状況を知りコントロールをしてゆくことは、大人として必要なマナーです。ぜひこうした前向きな取り組み方を覚え、明るく積極的な日々を手に入れて行っていただきたいと思います。

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