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これって病気?①季節性情動(感情)障害:SAD

20代の、特に女性の方にお聞きしますが、冬場になると食欲がやけに増進して体重が一挙に増えてしまう、といった傾向はありませんか?これはSADの典型的な特徴の一つです。

SADとは、Seasonal Affective Disorder。訳して季節性情動(感情)障害といい、俗にウィンターブルーともいわれるれっきとした病気です。1984年に精神科医のローゼンタールによって発見されました。どういうものかというと、主に秋や冬などに決まって気分が落ち込んだり、疲れやすさや身体のだるさを覚えたり、理由もなく食欲が増進し、普段では考えられないほどの体重の増加をきたしたりします。不思議なことに春先になると、自然にこの傾向は収まって、けろっと回復してしまうのです。が、再び同じ季節を迎えると、同じような症状を発症するという、反復性の厄介な病気です。

SADはまたの名を冬季うつ病(Winter Depression)とか季節性うつ病(Seasonal Depression)とも呼ばれ、典型的なうつ病のような抑うつ症状こそ目立ちませんが、意欲の低下や倦怠感などを呈する気分障害(Mood Afective Disorders)のひとつとして治療や対策が求められている病気です。

原因

冬季の日照時間の変化により、人体の体内時計をつかさどるメラトニンのホルモン分泌のタイミングが遅れるから、とも言われ、睡眠時間は十分なはずなのに日中眠くなる、とか、炭水化物飢餓ともいって、白米やパン、パスタ、菓子類などを多く摂取してしまう特徴もあります。こうした現象は地球の緯度にも関係しているといわれ、高緯度地域の北欧などでは頻繁に発生します。

ひざを抱える人

治療

治療法として有効なのは、低緯度地域への旅行や、高照度光療法などといったものがあげられますが、日常的には日光浴なども有効な手段とされています。その他、睡眠にあずかるセラトニン、メラトニンの材料となるトリプトファンを含む良質のアミノ酸、つまり肉や魚の摂取を心がけるとか、またそれらの栄養の吸収を効率的にするため、緑黄色野菜や果物の取り込みに力を入れる、といったことも重要です。まずはこうした生活習慣の見直しから始められるといいかも知れません。

医療

医療的にはSSRIなどの抗うつ剤を処方したりすることが多いのですが、SADにはうつ状態と躁状態を繰り返す双極性障害も含まれており、医療者にも多くの負担がかかってくるところとなります。また春、夏には薬を減量するといった工夫も必要なので、医療者は薬の減量を不安にさせぬようにしなければなりませんし、またそうした不安を感じぬよう、患者様ご自身がこの病気の季節依存性をよく理解することが必要です。

カウンセリング

そして認知行動療法などを取り入れた心理療法(セラピー)やカウンセリングも、大変有効な手段とされています。これ、といった凝り固まった思い込みなどを柔らかくほぐし、感性を柔軟に働かすことで新鮮な驚きを感じたり、カウンセリングによって気分の改善が促されれば、沈んでいた意欲や気持ちも息を吹き返してよりポジティブに過ごすきっかけとなるかもしれません。

明日のために

どうぞご自分の体調や、身体からのサイン、SOSなどをつぶさに観察し、病気の芽を見つけたら柔軟に反応してまずは行動をおこしてみてください。日々の陥りやすい症状は、きっとあなたのすぐそばにも隠れているかもしれません。そして自覚的に過ごすことこそが、明日の健康を見違えるほどに変えるかもしれないのです。

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